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和名に名を残した先達
蝶とトンボの和名に残る人物について調べてみました。亜種名については対象外としました。最近の図鑑やハンドブックはコンパクトながら驚くほどの情報が詰め込まれています。しかし、名の由来といったような同定するのに「余分な」情報は省かれてしまいます。少し調べればわかることですが、ここに簡単にまとめました。
〇朝比奈 正二郎 あさひな しょうじろう(1913~2010)
⇒ アサヒナカワトンボ、アサヒナキマダラセセリ
東京都出身の昆虫学者。国際トンボ学会会長、日本昆虫学会会長などを歴任。アサヒナキマダラセセリを初めて発見、採集した。
〇飯島 一雄 いいじま かずお(1928~2016)
⇒ イイジマルリボシヤンマ
昆虫研究者。北海道の道東地域の昆虫相解明に大きな功績をあげた。
〇岩川 友太郎 いわかわ ともたろう(1855~1933)
⇒ イワカワシジミ
青森県出身。東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)教授。日本貝類学会を創設。軟体動物学、貝類学の第一人者。
〇岩崎 卓爾 いわさき たくじ(1869~1937)
⇒ イワサキコノハ、イワサキタテハモドキ
宮城県出身の気象観測技術者。石垣島測候所に勤務した気象観測技術者。八重山地方の生物、民俗、歴史で業績を残した。
〇小熊 捍 おぐま まもる(1885~1971)
⇒ オグマサナエ
東京都出身の昆虫学者、遺伝学者。北海道帝国大学理学部長等を歴任。トンボ分類学の先覚者でもあった。
〇川上 瀧彌 かわかみ たきや(1871~1915)
⇒ カワカミシロチョウ
山形県出身の植物学者。台湾の植物研究などで功績を残した。
〇西條 実 さいじょう みのる
⇒ サイジョウチョウトンボ
与那国島在住の蝶採集家。2020年9月に与那国島でサイジョウチョウトンボ(Rhyothemis regia)を本邦初採集。
〇杉谷 岩彦 すぎたに いわひこ(1888~1971)
⇒ スギタニルリシジミ
兵庫県出身の数学者、チョウ研究家。第三高等学校(現京都大学)教授。鱗翅学界の巨星ともいわれる。貴船でスギタニルリシジミを発見。
〇波江 元吉 なみえ もとよし(1854~1918)
⇒ ナミエシロチョウ
東京都出身の動物学者。東京帝国大学理科大学(現東京大学理学部)動物学教室助手。波江が画工に命じてを描かせた「波江:日本蜻蛉圖譜」は有名。
〇林 慶 はやし けい(1914~1962)
⇒ ハヤシミドリシジミ
蝶の研究家で蝶聖といわれる。ゼフィルス生態解明に貢献。
〇堀井 栄吉
⇒ ホリイコシジミ
鹿児島高等農林学校助手
〇正木 任 まさき つとむ(~1943)
⇒ マサキウラナミジャノメ、マサキルリマダラ、マサキルリモントンボ
石垣島の測候所に勤めながら蝶の研究に打ち込んだ。1939年、尖閣諸島の生物調査も行った。
〇Armand David アルマン・ダヴィド(1826~1900)
⇒ ダビドサナエ
フランスの宣教師、博物学者。司祭となった後中国に派遣され、博物調査を行った。
〇Henry Loomis ヘンリー・ルーミス(1839~1920)
⇒ ルーミスシジミ
米国長老教会派遣の来日宣教師。千葉県鹿野山でシジミチョウの一種を発見。友人のH・プライアーがルーミスシジミと命名。
〇René Martin ルネ・マルタン(1846~1925)
⇒ マルタンヤンマ
フランスの昆虫学者。
〇John Milne ジョン・ミルン(1850~1913)
⇒ ミルンヤンマ
イギリスの地質学者。東京帝国大学名誉教授。日本における地震学の基礎をつくった。彼は昆虫の専門家ではなかったが、昆虫学者Sélysによってミルンヤンマとして記載された。妻は日本人のトネ。
〇Kenneth J Morton ケネス・モートン(1858~1940)
⇒ モートンイトトンボ
スコットランドの昆虫学者。主にトンボと脈翅目を研究した。
〇Sylvia Nakahara シルビア・ナカハラ(1919~1920)
⇒ シルビアシジミ
チョウの収集家としても名高い中原和郎(国立がんセンター初代所長)が、在米中に生まれ夭折した令嬢シルビアに因んで命名したのがシルビアシジミ。YADORIGA 253, 38-41(2017)に詳しい。
〇Friedrich Ris フリードリヒ・リス(1867~1931)
⇒ リスアカネ
スイスの精神科医でありトンボ学者。
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