トップページに戻る
                                            
学名の見方

学名は和名や英名と異なり、種を規定する世界共通の呼び方です。動物の学名は、国際動物命名規約(International Code of Zoological Nomenclature)に従って、属名と種小名で構成される二名法で表記されます。
以下に学名の見方をトンボ目の例を挙げながら簡単に説明しますが、一部は規約で規定されてはいないが、慣例となっている表記も含まれます。

[1] 最小限の記載 マダラヤンマの例
  Aeshna soneharai
    属名  種小名
 論文等で本文と識別しやすくするため、斜字体で表現されます。属名は頭文字を大文字にし、種小名は頭文字も小文字です。2度目以降は属名を省略して
A. soneharaiとすることもあります。

[例2] 学名の示す生物をより明確にするため、命名者の名前と公表年号を続けて記すことが推奨されています。

  Aeshna soneharai Asahina, 1988
                命名者  年号
 この場合命名者と年号の間にはカンマ「
,」を入れます。両者とも斜字体は使いません。

[例3] 学名が公表された後研究が進み、分類が見直された結果、所属する属名が変わることがあります。その場合、著者と公表年が丸括弧でくくられます。従って最初の命名者の名は残ることになります。ノシメトンボの例
  
Sympetrum infuscatum (Selys, 1883)

[例4]  種より下位の区分である亜種を表す場合、属名+種小名+亜種小名となります。トクノシマトゲオトンボ(アマミトゲオトンボの亜種)の例
  
Rhipidolestes amamiensis tokunoshimensis
     
属名     種小名    亜種小名
 
最初に記載された基本種(原名亜種)は種小名を繰り返します。アマミトゲオトンボの例
  Rhipidolestes amamiensis amamiensis

[例5] 亜種より低位の階級として「型(f: forma)」が用いられることもあります。キュウシュウトゲオトンボの例
  
Rhipidolestes yakusimensis f. kyushuensis

[例6] 個々の経緯は様々だと思われますが、学名が的確となった際の貢献者が著作物の著者Aではなく、別の人物Bであった場合「B in A」で表します。。タイワンウチワヤンマの例
  
Ictinogomphus pertinax (Hagen in Selys, 1854)
 
因みにトンボにはHagen in Selysが付く学名が複数あります。

以上を基にオオモノサシトンボの学名の変遷を見てみましょう。
  Copera tokyoensis Asahina, 1948
     
広く均翅亜目の分子系統解析を行った2014年の論文を基に、属が
CoperaからPseudocoperaに移籍となりました。それに伴って著者と公表年がカッコでくくられました。
  
Pseudocopera tokyoensis(Asahina, 1948)
      
2021年の論文を基に、
Pseudocopera tokyoensis (Asahina, 1948) Pseudocopera rubripes (Navás, 1934)と同一とみなされました。従って後からつけられたPseudocopera tokyoensis (Asahina, 1948)は無効となってしまいました(先取権の原理)。
  
Pseudocopera rubripes (Navás, 1934)

トップページに戻る